④「私たちは子どもに何ができるのか」非認知能力を育み、格差に挑む Helping Children Succeed 著者 ポール・タフ

④「私たちは子どもに何ができるのか」非認知能力を育み、格差に挑む Helping Children Succeed 著者 ポール・タフ

「どうすればその子たちの学習モチベーションはあがるのか?」というようなテーマで書かれている最後のまとめです。

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現代までのモチベーションの考え方は、人はストレートな褒美と罰に敏感に反応というという考え方が主流だった。

ロチェスター大学の二人の心理学者デシとライアンは、モチベーションについて、

自分の行動が生む表面的な結果ではなく、その行動によってもたらされる内面的な楽しみや意義を動機として決断を下す。

この現象を「内発的動機づけ」と名づけた。さらに二人は、人が求める3つの鍵を見きわめた。

「自律性」「有能感」「関係性(人とのつながり)」である。

お絵かきの好きな幼稚園児のグループに、その日は絵を描いたらお帰りのまえにご褒美「青いリボンと賞状」をあげると告げた。

二週間後、園児たちは明らかに絵を描くことへの興味を失っており、自由時間にお絵かきをすることもご褒美をあげた日の前より減っていた。もともと熱心だった4歳児たちにとって、お絵かきが仕事に、つまり青いリボンがもらえなければする価値のない物事になってしまったのだ。

しかし、デシとライアンは、学校で求められる大部分は、それ自体が楽しかったり、満足できるものではない、と認めている。

つまり内なる満足のためだけではなく、何か別の結果のために行動しなければならなくなった瞬間に「外発的動機づけ」が重要になる。

デシとライアンによれば、こうした外発的動機づけを自分のうちに取り込むようにうまく仕向けられた子どもは、モチベーションを徐々に強化していけるとう。

そこで、「自律性」「有能感」「関係性(人とのつながり)」が必要となってくる。

生徒たちが教室で「自律性」を実感するのは、教師が生徒に自分で選んで、自分の意思でやっているのだという実感を最大限に持たせ、管理、強制されていると感じないときである。

生徒が「有能感」を持つのは、やり遂げることはできるが簡単すぎるわけではないタスク、子どもたちの能力をほんの少し超える課題を与えるとき。さらに、「関係性」を感じるのは、教師に好意を持たれ、価値を認められ、尊重されていると感じるときである。

この3つの感覚には、机いっぱいの金の星や青いリボンよりも、はるかに動機づけの効果があるという。

「学業のための粘り強さ」も生徒たちには必要だ。

そのためには、生徒たちの心のありようを見直す必要がある。

1)私はこの学校に所属し、信頼している。

2)私の能力は努力によって伸びる。

3)私はこれを成功させることができる。

4)この勉強は私にとって価値がある。

「ここはおまえの居場所ではない。敵の療育だ。この学校にいる全員がおまえを捕まえようとしている」

というメッセージでは子どもたちの「粘り強さ」=「グリット」は伸ばせないのである。

「子どもたちにもっと自信を持ちなさいとか、知的な胆力を持ちなさい」と話すだけでは性格を変えることはできない。

子どもたちがこのような力を身につけるには、サポートを受けながら、思いきってやってみることに継続的に強いられる必要がある。そのような環境から生徒たちは最初は緊張したり、わめいたり、助けを求めたりしながら、やがて、自信がついて、自分でやるようになる。そういうチャンスが性格をつくりあげるのである。

解決方法のわからない問題に出会い、苦労してそれに取り組み、答えを出す。

そのようなステップから、自分の脳が努力や苦労を通じて育つことに確信を抱くようになるのだ。

また、今後、子どもたちに与えるべき学習環境は、以下のようなものである。

1)探究型の指導ー教室で、教師が講義をするだけではなく、生徒に議論させること。

2)プロジェクト型の学習ー生徒たちが、グループなどで仕上げるまでに何週間、何ヶ月もかかるような複雑な課題に取り組むこと。

3)実績重視の評価ー生徒たちを期末試験の時点で判断するのではなく、彼らが一年かけて築いた実績、プレゼンチェーション、文書、芸術作品などで評価すること。

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子どもたちの一生の財産になる非認知能力を獲得する機会を奪ってはいけません。

周囲の大人たちがどのように子どもと接するかによって大きな影響を受けていきます。

私たちは子どもに何ができるのか。

改めて、深く考えていきたいと思います。

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