③「私たちは子どもに何ができるのか」非認知能力を育み、格差に挑む Helping Children Succeed 著者 ポール・タフ

③「私たちは子どもに何ができるのか」非認知能力を育み、格差に挑む Helping Children Succeed   著者 ポール・タフ


今回は「子どもたちの『学習』のために必要な環境とは何か」について。

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学びに集中できない、落ちこぼれる。そして自分も学校もいやになる。それがさらにストレスを生み、問題行動の原因となる。ますます何事にも集中できなくなり、悪循環が続く、それを多くの教師は「態度が悪い」「モチベーションが低い」と判断する。

しかし、そうではない。「学習のための積み木」が育っているかどうかだ。

レジリエンス、好奇心、学業への粘りといった非認知能力は、まず土台となる実行機能、つまり自己認識能力や人間関係をつくる能力などが発達していないと身に付けるのはむずかしい。こうした能力も人生最初期に築かれるはずの安定したアタッチメントや、ストレスを管理する能力、自制心といった基幹の上に成り立つ。

では、このように「学習のための積み木」が築かれていない子どもたちに対してどのように対応すれば良いのか。

学校がよくやるような、悪い行いに対し教師が罰を与えることや、インセンティブ(賞)を与えることは効果はないと言われている。

ハーバード大学のローランド・フライヤー氏は、ここ10年の間にアメリカの公立学校に通う生徒を対象とした実験をおこない、あらゆる種類の報奨制度を試してきた。

PTAの会合に出席した保護者、本を読んだ生徒、生徒のテストの点数をあげた教師らに報奨金を支払った。もっと勉強するようにと、子どもたちにはインセンティブとして携帯電話を与えたりもした。しかし、ほぼすべてのケースで効果がなかった。4年間の実験の結果、教師へのインセンティブが生徒の成績、出席率、卒業率をあげると信じるに足りる証拠はまったく見つからなかった。報奨のおかげで生徒や教師の行動が変わることもなかった。反対に、教師に対するインセンティブが生徒の成績を下げたことはあった。

「どうしたら、規律を守らせることができるのか?」ということを学校側はいつも考えている。

子どもの健全な自制のシステムのメカニズムを理解しようとしていない。

子どもが教師への反抗、規律を乱す行為、校則違反を起こすのは、「態度の悪さ」「反抗的な性格の表れ」ではない。

幼少期にストレス反応システムがうまく育っていないせいなのだ。

幼児期の子どもたちに与える有害なストレスは、発達する神経システムに「警戒を怠るな」「困難な人生に備えよ」という信号を送ってしまう。

ぬくもりや敏感な反応はそれと反対のメッセージを送る。「きみは安全だ」「先行きは明るい」「ガードをおろせ。まわりの人が守ってくれるし、養ってくれる」「好奇心を持て。世界はすばらしい驚きにあふれている」。こうした信号は、子どもたちの利益となる。

このようなメッセージが子どもたちに必要な「学習のための積み木」を築いてくれるのだ。


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子どもたちの目の前の行動だけではその子たちが「モチベーション」が低いと判断することはできません。

「モチベーションを持つ構え」が幼少期に積み上げられてきたかどうかが重要なのだと著者は言っています。

子どもたちの見方が変わってきますね。

次回は、「では、どうすればその子たちの学習モチベーションはあがるのか?」というようなテーマで書かれている最後のまとめです。

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