②「私たちは子どもに何ができるのか」非認知能力を育み、格差に挑む Helping Children Succeed 著者 ポール・タフ

今回は「子どもたちの取り巻く環境がどのように影響を及ぼすか」です。特に、子どものストレスについて記述してあります。でも、ここでのストレスは虐待、ネグレクト等を指している部分が多いので、過敏に反応して、子どもが失敗しないようにするとか、子どもにチャレンジさせなくていいとか、そういう話ではありません。

子どもたちが「安心できる環境」「愛情を感じる環境」というものはどういう環境かを学べます。「サーブとリターン」の研究の記述についてはすぐに実践できそうです。

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子どもたちに対する親の接し方が、ストレス、心的外傷につながることがある。

環境による影響の中で、そのような不健全な刺激が子どもの心と体の健全な発達を阻害する。

幼児期は、これから先の人生において何を備えるべきかを、体に知らせる信号をつねに探している。

この「脅威検知システム」が過度に作動すれば、生理的な問題の引き金となる。

免疫系がうまく働かない。喘息、心臓病などの病気を引き起こす。

つねに脅威を警戒しつづける極度に敏感な「脅威検知システム」は自滅的な行動パターンを引き起こす。

口答え、わがまま、人間関係を恐れる、教師の助けを拒む、反抗するなどである。

ここで注意したいのは、乳幼児期は泣いたりわめいたりの感情を爆発させることは多い。だが、これ自体が悪いことではなく、子どもはどの都度何かを学んでいるのである。

大切なのは、その際に周りの大人がどのような対応をするかである。

ハーバード大学の児童発達研究センターの研究者たちは、「サーブとリターン」という対応を重要視した。

幼児が音を立てる、あるいは何かを見る(これがサーブ)と、親は子どもの関心に対し、打ちかえす(リターン)。

「そうね、わんわんね」「扇風機が見えたの」「あらあら悲しいのね」

こうした親と乳幼児のやりとりが、子どもたちにとってどんな経験よりも発達の引き金となる。

さらに、親が子どもに反応せず、泣いても話しかけようとしない、テレビの前に放置される。そのような状態はネグレクトであり、子ども時代だけではなく、将来、上手に人間関係をつくれない、認知力や言語の発達が遅れ、実行機能に問題を生じることもある。

親や教師から見れば、不注意で落ち着きのない子とみなされてしまう。勉強に集中することができないからだ。

ロシアとアメリカの科学チームが、ロシアの孤児院である実験をした。

以前は、食事、着替え、入浴等を機械的に処理され、アイコンタクトがなったのだが、スタッフにもっと心のこもった世話をするよう教育した。大したことではない。ただ声をかけたり、笑みを向けたり、することだけで多くのことが変わった。九ヶ月後には、認知能力、社会性、運動技能に相当な伸びが見られ、体の発育そのものの改善があった。食事や医療ケアは全く変わらないのに、身長、体重、胸囲がすべて目に見えて増加した。

さらに、驚くべきことは、孤児たちがより健康に、より幸せそうになるにつれ、スタッフのあいだでも鬱や不安が減少したのである。

もし目の前の子どもたちの人生を変えたいと思うなら、私たちにできるのは「環境要因」を改善すること。つまり子どもたちが日々接する大人の行動や態度を改善することなのだ。

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安心できる環境のあってこその学習、子育て。家や親が、脅威を与えるのではなく、家や親が安心できる環境を与えるから、脅威に対して立ち向かったり、受け流したりする力が育っていくのでしょう。

次回は「子どもたちの『学習』のために必要な環境とは何か」について。

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