10月あいさつ「真の学びとは何か」

少し肌寒い日々が続いております。冬になると、夏が恋しくなり、夏になると冬が恋しくなります。日本の偉大な哲学者・教育者の森信三先生は、「暑い、寒いと言わなくなったら一流」という言葉を残されています。その言葉を思い出す度に、自分の未熟さを痛感しているところです。


 さて、学童の子どもたちから「漢字の宿題で5日間 はなまる を続けたら『宿題パス券』というご褒美を貰える」ということを聞きました。「ご褒美で宿題パスなの?」と聞き返すと、「うん、頑張ったからね」という返答がありました。


皆さんはどういう風に思われたでしょうか。


私自身、ご褒美に宿題をパスできると聞いた時に、「学びというものは辛くて、嫌なものだから、たまには休んでいよ。」というようなメッセージに聞こえてきました。考え過ぎと言われればそれまでですが、世界には学びたくても、学べない子どもたち、学校に行きたくても、行けない子どもたち、数年前に当園の生活発表会の題材になった「世界の果ての通学路」に出てきた子どもたちのように何時間もかけて命を危険を冒してでも学校に学びに行く子どもたちがいます。そんな子どもたちが日本には「宿題をしないご褒美」があると知れば、どんな気持ちになるでしょうか。 


 そんな話を職員にすると「園長先生、それだったら『宿題グレードアップ券』があればいいですね」と言うのです。その子はもっと学びたい欲求があるので、パスという形ではなくて、「次の課題に進める」というご褒美を渡したらどうかという意見です。素晴らしいと思います。


園での様子を見ていても、子どもは元来、学ぶことを楽しいと感じています。それを、「学びをパスすること」をご褒美にしては、直接的な表現でなくても、子どもたちに「学び」という定義がどう伝わっていくかが不安になってしまいます。正解、不正解というものはないかもしれませんが、ご家庭でも「宿題パス」について哲学してみても面白いかもしれません。 


 話は変わりますが、先日、哲学の時間を見ていると、みんなの輪の中に入れずにゴロゴロと寝転がりながら過ごしている子がいました。友達についてのテーマだったのですが、その子が最後の方でボソッと「僕のお友達は、〇〇くんと〇〇ちゃんだよ」と教えてくれたのです。「ちゃんと聞いていない」「学んでいない」「落ち着きがない」という見方もできるかもしれませんが、子どもは案外、そういう状況で学んだり、聞いたりしていることもあると思います。学んでいることと、姿勢良くしていないことは、「学び」と「マナー」で切り分けて考える必要もあるように思います。 


 今年度も後半に入りました。年度末に向けて、さらに子どもたちが「自ら育つ(学ぶ)環境」を職員一同追求してまいりたいと思います。まだまだ、日々の保育でもたくさんの不足、至らぬ所があるかと思います。保護者様に引き続き助言、ご指導をいただきながら、真摯に向き合い成長してまいります。 


 おへそ保育園・こども園・学道場統括園長 吉村直記


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