幼児教育の経済学

幼児教育がもたらす投資効果と、恵まれない家庭の子どもたちの教育環境がもたらす影響について、経済学的な視点で描かれている著書です。

失業者訓練にかけるコストよりも、幼児教育に投資した方がはるかに、経済的利益と費用対効果が良いという結果が分析されています。


1962年~1967年にアメリアミのミシガン州にで、低所得者でアフリア系の58世帯の子どもを対象に「ペリー就学前プロジェクト」と言われる調査が実施されました。

就学前の幼児に対して、午前中に毎日2時間半ずつ教室での授業を受けさせ、さらに週1度は教師が各家庭を訪問して90分間の指導をしました。

指導内容は子どもの年齢と能力に応じて調整され、非認知的特質を育てることに重点を置き、子どもの自発性を大切にしました。

非認知的というのはは、性格や対人スキル、コミュニケーション能力、自己管理能力、向上心など、”人生の質を向上させるのに重要な”スキルのことです。


就学前教育は30週間間行われたということですので、ひと月に5週あったとしても6ヵ月間くらいでしょうか。そして、就学前教育の終了後、これを受けた子どもと受けなかった子どものグループを、40歳まで追跡調査したというものです。


就学前教育を受けた子どもは、受けなかった子どもよりも40歳時点での学力検査の成績が良く、学歴も高く、特別支援教育の対象者が少なく、収入も多く、持家率が高く、生活保護受給率や逮捕者率も低かったという結果が出されました。つまり、就学前の教育がその後の人生に大きな影響を与えることを明らかにされました。

また、IQに代表される「認知能力」だけではなく、忍耐力、協調性、計画力といった非認知能力も人生においてとても重要であるということも意味します。


著者のヘップマン教授は、

3、4歳の時期に適切な教育を受けずに敏感己を過ぎてしまった子どもは、教育投資の効果が少なくなり、学習意欲を高めることは難しく、効果は限定的なものになる。逆に言えば、非認知能力が大きく発達する就学前の時期に、その発達を促す教育をすることが重要で、その発達がその後の教育の効率性を高め、社会的な成功につながるのである。

とも言われています。


幼児期というのは、いかにその後の人生に影響を及ぼしていくかということが、様々な視点から垣間見れる一冊です。




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