ヒトはなぜ協力するのか

著者の実験によれば、生後14ヶ月~18ヶ月の幼児が、さっき会ったばかりの大人に対し、手の届かないものを取ってあげること、手がふさがっているときに戸棚を開けてあげることまで援助・協力をしたといいます。また、ある研究では、テストに参加した24人(18カ月児)のうち22人が援助・協力を行ったそうです。


つまり、ヒトは生まれながらに人に対し、援助し、協力する遺伝子を持って生まれてくるらしい。そして、幼い子どもによる援助行動には共感的な気遣いがあり、ある大人が描いている最中のお絵かきを他の大人がひったくって故意に破り捨てるのを18か月~24か月の子どもに見せたところ、途端に被害者(情動は表出していない)へと視線を向け、気遣っている表情を示しました。結果的に被害者となった大人を加害者の大人よりも多く援助したそう。


これからが面白い内容。

親からの報酬や促しによって援助行動が増加することはない

と書かれています。


どういうことかと言いますと、著者らは援助行動をした子どもたち(赤ちゃん)に、ひとつのグループには、援助行動を行うたびに「おもちゃ」を与え、もう一方は、何の反応も示さない、という実験を行いました。なんと、何度か同じ実験をした結果、報酬を与えられた子どもたちの方が援助行動の頻度が低くなったのです。


報酬を与えることは、子どもたちの自主的な援助行動を促進しないばかりか、崩壊さえするかもしれません。


ヒトは生まれながらに協力したり、貢献する気持ちを持って生まれてくる。

遺伝子レベルで備わっている素晴らしい力なのです。

しかし、その生まれながらの援助、協力、貢献する行動を過度に評価し、褒め称えたりして、外的報酬を与えることは、逆に、内的動機を弱体化させるということ。

必ずしも褒めることだけが、子どもの「貢献欲」を伸ばせるのかは、分からいということです。援助行動に対し、評価という視点ではなく、「ありがとう」という感謝で返すことが自然なのかもしれません。


色々と考えさせられる一冊です。



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